うたた ka-gu’s diary

障がいをお持ちの方の、生活と余暇支援を行っている・NPO法人うたたのブログです

NHK 大河ドラマ館と、《心的外傷、攻撃性、そして言語》(自閉症スペクトラムの臨床より)



 今日の日中は、男子と女子に分かれ、男子は気賀にあるNHK大河ドラマ館に行って来ました。
歴史が大好きな学齢児さんがいたので行きましたが、賑やかでした。
 浜名バイパスから見えた富士山と、ドラマ館の古地図に心を奪われた様でした。
大河ドラマは、井伊直虎でしたっけ? 井伊家というとどうしても滋賀県を思い出してしまうのは、関西人だからでしょうか?


 お昼は、男子全員が『マック!』とのことで、浜松のマックに行きました。
みなさん、凄い勢いで食べていました!おっちゃんと男子3名の4人でした。

 うたたねに戻ってから、お風呂に入ったら一日が終わりました。
本当に一日が早いですね.....。
 
暫くは、『自閉症スペクトラムの臨床』よりです。

『彼女の念頭にあったのは、良性の外的現実が子どもの攻撃的な空想を修正しうることである。しかしながら、子どもが心的外傷に晒されると、外的現実は、対照的に、自分の攻撃性についての子どもの恐怖心を和らげるよりもむしろ強化するだろう。』
 彼女とはクラインのことですが、クラインの観察力は本当に恐ろしいですね....。


『幼い子どもたちは……彼らの経験に対して心理学的説明や情緒的なラベルを提供してくれる養育者に強く依存している(Nelson,1990)。セラピストや親は幼い子どもたちが彼らの理解を表出する機会を提供するだけでなく、非言語的な行動から推論を行い、それらを言語的な表現に翻訳していくのが、最も効果的である。[Gaensbauer,2000,p.383]』



《心的外傷、攻撃性、そして言語》
 次に私は、以上のことが情緒的なレベルでは何を意味するかについて考えたいと思う。私は特に、子どもの心的外傷の経験と、攻撃性の取り扱いを伴う通常発達との間の繋がりに関心がある。クラインは、どのように乳幼児が通常、生来の攻撃性と折り合いをつけるか、そして、このプロセスが外的現実との相互作用によってどのように手助けされているかが極めて重要であることを詳述した。「精神分析は、その始まりから、常に子どもの早期の経験の重要性を強調してきてはいるが、私たちが早期の不安の性質や内容、そして実際の経験と空想生活との間の連続的な相互作用についてより多くを知るようになったと私には思われる(1935,p.285)。」彼女の念頭にあったのは、良性の外的現実が子どもの攻撃的な空想を修正しうることである。しかしながら、子どもが心的外傷に晒されると、外的現実は、対照的に、自分の攻撃性についての子どもの恐怖心を和らげるよりもむしろ強化するだろう。
 私の印象では、こうしたグループの子どもでは、非常に特有な繋がりが、心的外傷の経験と、攻撃的な感情と折り合いをつけるという通常発達の課題との間にできる。そのため、たとえば、心的外傷化した出来事は、攻撃的な感情を持つことへの暴力的、迫害的、そして報復的な攻撃に感じられるのである。そこで、こうした子どもたちは、あらゆる攻撃性を取り除くことによってこれに反応し、現実の生活とのどんな関わり合いも起こらないようにし、生命のない自閉的引きこもり状態にまでになるのである。
 とするならば、こうした状況を乗り越えることができるのは、攻撃性という考えを斬新的に統合できるように、セラピスト(または親)が、それを十分に修正された遊びの形式で導入するような積極的な関わりだけだろう。しかしながら、そうした状況では子どもにとって外傷的となった同じ経験が等しく親にとっても心的外傷化してしまっていることが残念なほどに多くある。その結果、彼らにはこの種の調整する役割を果たすことができなくなってしまっている。ゲーンズバウアー(Gaensbauer)という心的外傷の領域を専門とするアメリカの心理学者もまた、「外傷的に引き起こされた怒りの幼い子どもの発達への破壊的な影響と、外傷的な経験が完全に解決されるために、この怒りの適切な表出を促進することの重要性」(Gaensbauer,2000,p.374)に言及している。
 同じ論文で、彼はまた「言葉が流暢に話せるようになる前に受けた医学的疾患とそれに関連する治療が心的外傷化していた」子どもの事例について報告している。ステファンに似た、その子どもの家庭は、「親密で暖かい家庭」であり、直接的な怒りの表出は難しかった。ゲーンズバウアーは、心的外傷の衝撃を彼が述べているような見地から見ると、このような立場の治療作業は幼い子どもの外傷的経験の内的な再加工を作曲的に促進する上でのセラピストや保護者のきわめて重要な役割を浮き彫りにしている(前掲論文,p.383)。」彼は「子どもの症状の多くが和らぐ重要な転換点としての怒りを表出する能力の出現(Drell,Gaensbauer,Siegel & Sugar,1995;Gaensbauer,1994)」について書いている(前掲論文,p.384)。
 ステファンにとっても、彼に自閉的な引きこもりから出てくる強さを持つまでに至らせたのは(指人形での遊びを通した)怒りや攻撃性を表出する能力の出現だったと思う。攻撃性は、クラインが言及しているように、肯定的な側面もまた有している。「感情やパーソナリティの攻撃的な成分は、力、有能感、強さ、知識、そしてその他の多くの望ましい性質と心の中では密接に結びついている」(Klein,1946,p.8)のである。
 興味深いことに、ゲインズバウアーもまた言語の役割との重要な繋がりを強調しており、なぜ非言語的な入力(遊び)と言語的な入力の両方が提供される必要があるのかについて示唆している。



幼い子どもたちは……彼らの経験に対して心理学的説明や情緒的なラベルを提供してくれる養育者に強く依存している(Nelson,1990)。セラピストや親は幼い子どもたちが彼らの理解を表出する機会を提供するだけでなく、非言語的な行動から推論を行い、それらを言語的な表現に翻訳していくのが、最も効果的である。[Gaensbauer,2000,p.383]



それゆえ、私が攻撃的な指人形の遊びをステファンのセッションに導入したことで、彼が攻撃的な感情を表出する機会と同時に、私が必要な言語的コメントをそれらにする機会もまた提供されたのである。