うたた ka-gu’s diary

障がいをお持ちの方の、生活と余暇支援を行っている・NPO法人うたたのブログです

雪と、外壁工事と、ノロウィルスと、『自閉症スペクトラムの臨床』大人と子どもへの精神分析的アプローチより


 雪ですね!3年間北海道で過ごしたので、少々の雪なら大丈夫ですが、スタッドレスを履かないと車の運転は怖いですね。今の状態くらいだと、ゆっくり走れば問題はありませんが、雪道の怖さを知らない方は無茶するので走っていてヒヤッとする時があります。
 取り敢えず、少し走ってみて軽くブレーキをかけて、どれくらいで止まれるかを時々試しながら走って欲しいです。(走るならw)
 色んな予定がなくなりました....。


 少しずつですが、うたたねの外壁工事が進んでいて、昨日は18時くらいまでトントンと音がしていました。
朝見るとこんな感じでした!

 ショートステイの方の具合が悪く、(その方が通われている日中の施設でノロウィルスが蔓延しているとお母さんから聞いていましたが、お元気だったので受け入れさせて頂きました、重度の方々はその時の判断が難しいですね、なるべく受け入れさせて頂きたいのですが.....)嘔吐されました。女性職員が機転を利かせて、上手に処理と処置してくれたので、酷く拡散することはなさそうですが、今日は念のため、ショートステイと日中一時のご利用を全てキャンセルして頂きました。
 おっちゃんは、そのかたと一晩一緒に過ごしていましたので、その方をご自宅まで送らせて頂き、夜勤を明けました。4年前にも同じ方が発症され、おっちゃんだけ(その時も夜勤でしたw)うつり、えらいことになりました....。今回はノロウィルスが流行っているとの事前に連絡が(ご利用者さんの親御さんたちから)ありましたので、対処できるように準備をしていたので良かったです。
 感染性胃腸炎もインフルエンザも警報が出ているのに、名古屋まで移動支援で行かれた方がいるので心配しています。1月、2月は警報が出たら、自粛したほうが良さそうですね。
 みなさんもお気を付け下さいね!今日は開店休業です。

 夜勤明けで、マックで熱いコーヒーを飲みながら本を読んでいたら、現場から報告があったので直ぐに駆けつけました。
 その時に読んでいた箇所のアップです。
 メルツァーが、自閉症の方に関する立派な本を出していますが、難しそうなので、こちらから入ることにしてみました(笑)こちらも十分難しい......。


 
精神分析においては、精神分析家もしくは児童心理療法士は、患者が投影してくる感情を受け入れ、それに耐え続けていくことで次第に患者が取り入れ考えることのできる形のコミュニケーションに変えていく。これは簡単な過程ではなく、十分な訓練が必要であるし、またそれを維持するには優れた同僚のサポートが必要である。』 

 一人で仕事をしたいと言う方がいますが、現場では一人では何もできません.....。



自閉症スペクトラムの臨床』大人と子どもへの精神分析的アプローチ
ケイト・バロウズ編(平井正三・世良洋監訳)
序章
自閉症の子どもの精神分析的治療の最初の記述は、メラニー・クラインの「自我発達における象徴形成の重要性」(1930)という論文である。彼女は、今日おそらく自閉症と考えられる症状を呈している4歳の男の子の分析について書いている。

 現実に適応したり、まわりの人との情緒的関係を持つことはほとんどしなかった。ディックというこの子どもには感情表現はなく、母親や乳母がいてもいなくても無関心であった。当初から彼はめったに不安を示さなかったし、仮に見せたとしても極めて微かなものであった。……彼はほとんど興味や関心を示さなかったし、遊びをすることはなく、まわりと関わることはなかった。大抵の場合、彼の発声は、無意味な仕方で組み合わせた音声にすぎなかったし、その音声を常に繰り返して口にしていた。……彼は痛い目にあっても、痛みには鈍感であることが見て取れ、小さな子どもに通常見られるように慰めてもらったり、抱っこしてもらいたがることはなかった。……彼はまた、私がまるで家具の一つであるかのように、私のまわりをぐるぐる走り回ったが、部屋の中にある物には全く興味を示さなかった。


 分析を開始して6ヵ月の間にクラインは、ディックの状態をかなり改善させることができた。彼は、特に、発達の基盤となる、好奇心やコミュニケーションをしたいという願望を持つようになってきた。ディックは小児統合失調症の記述に完全にあてはまらないわけではなかったので、クラインは、どのような診断したらよいのか戸惑った。
 タスティン(Tusutin 1983)が後にクラインのこの論文について論じているように、クラインは、カナーの小児自閉症という考えを時代に先駆けて記述していたのである。クラインの論文はまた、自我発達における象徴形成の重要性の理解という点で歴史的なものであった。彼女は、ディックの制止は、母親の体の中に何があるのかに関する無意識的空想が心理的情緒的発達の基盤となると論じた。そしてクラインによれば、母親とその体の中にあるものにダメージを与えるのではなかという恐れがあまりに強すぎると、母親をダメージから守り、子どもを復讐される恐れや堪えられない罪悪感から守るために情緒発達や知的発達の抑制が起こる。子どもが母親とその体の中にあるものに対する両価的感情をめぐる不安に反応して、母親との関係を表わす新しい対象を求めることで母親へのダメージに関する不安を薄めるようにしていく中で、象徴形成が起こる。しかしながら、不安があまりにも大きいと子どもは象徴を形成することができない。代わりに、子どもにとって世界は、危険なものに変わってしまった母親の体と等価にみえ、近づくことさえ恐ろしいと感じられるものになり、世界そのものを避けるような状態になってしまうのである。ある種の自閉症の子どもにみられるこのような回避、そして不安表現の欠如には、彼らが対象に多大の不安を抱いていることが透けて見える。クラインは、このような状態に至る要因として、対象への気遣いが時期早尚に生じることや、後にウィニコット(Winnicott 1965:pp.21-23)が「無慈悲さ(ruthlessness)」と呼び発達に決定的に重要であると述べることになるものを確立することが難しいことを挙げている。自閉症の子どもたちは、人に与えるダメージに対して早くからあまりに過敏であったために、逆説的に、他者をまるで家具のように扱い、自分自身何の痛みも感じないような状態に退避してしまっているのである。〜

〜ウィルフレッド・ビオンは、以上のような発達がどのようにして起きるかについての精神分析的理解を発展させていく重要な仕事を行った。彼によれば、乳児は耐えられない感情を母親にコミュニケートし、母親はそのような感情を「包容する(contain)」ことができる。すなわちそのような感情を受け入れ、消化し、修正し、乳児が耐えられる形で乳児に返すことのできるようにしていく(Bion 1967,p.114)。この包容の考えは同じく、精神分析の設定にも適応される。精神分析においては、精神分析家もしくは児童心理療法士は、患者が投影してくる感情を受け入れ、それに耐え続けていくことで次第に患者が取り入れ考えることのできる形のコミュニケーションに変えていく。これは簡単な過程ではなく、十分な訓練が必要であるし、またそれを維持するには優れた同僚のサポートが必要である。治療者が自閉症と関わる際に、特に耐え難い影響を受けることが知られている。治療者は、患者から締め出されて孤立感を持つこと、そして治療者自身を無思考状態(mindlessness)へ、自閉状態へと引き込まれていくことと格闘しなければならない。〜