うたた ka-gu’s diary

障がいをお持ちの方の、生活と余暇支援を行っている・NPO法人うたたのブログです

うつに非ず うつ病の真実と精神医療の罪

 MSN産経ニュースの書評にこんなものが出ていました。
利用者さんの中には、うつ病と診断されて、抗うつ剤向精神薬を処方されておられる方もいますが、何か違うな?と思う事が多いのは自分だけでしょうか?
 心の弱さと、うつ病を勘違いされている方の多さにも驚きます。
 書評を読ませて頂いているだけでも、考えさせられましたので、図書館にあれば是非、読ませて頂こうと思っています。
 抗うつ剤向精神薬だけでは、抜本的にその症状の改善は無理だと、日々思っています。

2013.12.15 12:28
思い込みを排し原因を問え
 いま日本では、毎年3万人近い人が自殺で亡くなっている。警察庁の調べでは平成10年に前年から8千人も急増して3万人を突破。24年は2万7853人だったが、それでも9年までのレベルより高い。われわれは漠然と、うつ病による自殺が増えていると思っている。しかし本書は、それが極めて危険な思い込みだと警鐘を鳴らす。
 著者の業績の中で強く思い出されるのは、阪神大震災である。あのとき著者は、世間にまだなじみのなかった「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」の概念を紹介した。こうして「心のケア」という言葉が流行語となった。
 しかし著者が本来、PTSDの概念を使って訴えたかったのは、まったく違ったところにあった。大災害を生き延びた人はフラッシュバックなどが起き、不安や不眠に悩まされる。しかしPTSDによる不眠と、「家や財産を失って、明日からどうやって生きていったらいいか、不安で眠れない」という不眠では、明らかに対処の方法が異なる。つまり原因が生活不安であれば、必要なのは「心のケア」よりも生活支援である。

 阪神大震災後、さらに深刻な不況に突入し、平成10年にリストラなどを苦にした自殺が急増した。しかしここでも自殺の原因を突き詰め、社会的要因を排除していく努力なしに、自殺の増加は「うつ病の増加」とされた。このため自殺防止のキャンペーンが、精神科を受診するキャンペーンとなった。しかし、リストラや職場の過度のストレスによる不眠が、抗うつ剤で解決するだろうか。
 著者は医師として、断固としてNOと言っている。むしろ強い抗うつ剤は、かえって自殺衝動を高めることがあるという。本当のうつ病と、ストレスによる「抑うつ状態」は違うのだ。
 著者は、うつ状態の本当の理由を問おうとせずに、安易に投薬する精神医療の現場にも、またそれを後押しする政府やマスコミにも反省を促している。反論があるかもしれない。しかし、まず本書の問いかけに真摯(しんし)に向き合うことが必要ではないか。(講談社・1365円)
 評・深堀明彦(大阪総合企画室)