うたた ka-gu’s diary

障がいをお持ちの方の、生活と余暇支援を行っている・NPO法人うたたのブログです

桜と、【鼻がきく人たち】(匂いの人類学より)


今日は、地元で桜祭りがあったようですが、花はまだ咲き始めているものの、ぱっと見た感じでは、咲いていないように見えます。
暖かかったり、冷え込んだりで、積算温度が開花に必要なところまで達していないのでしょうか?
 入学式くらいが、満開かも知れませんね。それはそれでいいかもです!



 風に吹かれて落ちていたつぼみも頂いてきて、お皿に浮かべてみました。
咲いてくれるでしょうか?


 今日は、朝からみっちり事務仕事......。事務所も事務仕事している職員が2人いたので、自宅でやっていました。
大分進みましたが、給与計算は途中になりました。
 明日は休みですが、事務仕事さんが待っています.....。

 
 本も少し読ませて頂きましたが、しつこく(笑)『匂いの人類学』からです。
どんな仕事でも、専門家になるには、専門の訓練を受けないと、本当の専門化にはなれないのですね......。
 とりあえず、頑張ってみます。



『匂いの人類学』
【鼻がきく人たち】
 ある朝、托鉢に回っていると、私の鼻はすばらしく嗅覚の鋭い犬のように敏感になった。小さな村の通りを一歩進むごとに、別の匂いがするのだ。何かを洗う匂い、庭の肥料、塗りたてのペンキ、中国人の店の炭火の明かりの匂い、その隣の窓から漏れる料理の匂い。それは、匂いのあらゆる可能性を内包する世界を歩むという非日常的な体験だった。
ジャック・コーンフィールド『A Pars with Heart(心とともに歩む道)』

 友人のラリー・クラークは鳥類学者だ。いっしょに山道を歩いたとき、彼はさえずりだけで次々と鳥の種類を言い当てた。これには畏敬の念を覚えた。香りの話をする調香師(彼は私より鼻がきくらしく、彼には嗅ぎ取れる匂いでも、うかつな私の鼻では、言われるまでわからない)に対して抱くような感覚だ。匂いの専門家はどうしてこんな芸当ができるのだろうか?彼らの鼻はそんなに優れているのか?どうやったら彼らのようになれるのだろうか?
 これは単なる感度の問題ではない。たぶん、嗅ぎ取れる匂いの濃度はふつうの人でもプロのワイン・テイスターでも変わらない。ただし、専門家には同じ知覚情報を、よりうまく利用できる認識力がある。訓練を受けた調香師が新しいコロンを慎重に類別し、その独特のノートに神経を集中するように、熟練したワインのプロは品種やビンテージを言い当てられる。言い換えれば、プロの優位性は鼻ではなく脳にあり、専門分野に特化した知的技能の訓練を継続していることにある。たとえば、ワインの専門家はテイスティングのたびにメモを取る。プロが初心者と違うのは、以降のテイスティングで、自分が生み出した表現をさまざまなワインに結びつけることができるからだ。プロは知的訓練を積むことで、初心者が陥りやすい「言語陰藪効果」―言語化しようとすることが香りそのものを知覚する妨げになる―という落とし穴を避けられる。
 調香師のロバート・カルキンとシュテファン・イェリネックは、調香師の仕事はまあまあの嗅覚があればできると考えている。ただし、プロとしてうまくやるには、特定の知的技能と思考プロセスが必要だ。私自身の研究でも、香水の専門家は特殊な考え方をすることがわかっている。調香師、香水の分析や評価をおこなうエバリュエーター、化学者、販売責任者は、香水業界とは関係のないふつうの人よりも、匂いのイメージ能力が優れている。彼らの仕事に重要なのは、特定の香水の香りを頭に浮かべる能力と、その成分をブレンドしたらどんな香りになるかを想像する能力だ。
 知覚的な能力をつねに研ぎ澄ましておくことで。香りに対する脳の反応に、実際に変化が生じる可能性もある。プロの香料研究者と、より一般的な職業の人について、脳波のパターンの比較がおこなわれてきた。プロが匂いを嗅ぐと、認知判断にかかわる前頭葉眼窩前頭皮質という領域に特徴的な活動が見られた。この脳反応のパターンは、プロがより分析的に匂いを知覚していることの表れなのかもしれない。別の調査では、ソムリエとふつうの人が、サンプルのワインを少しずつ飲んで味わった。すると、ソムリエの脳では、認知処理にかかわる領域(やはり、眼窩前頭皮質)と味と匂いの情報を統合する領域に反応があった。一方、ふつうの人の脳で活動が見られたのは、一次感覚野と情緒反応にかかわる領域だった。感じた匂いについて慎重な判断を下す訓練を積みことで脳機能が変化し、より鼻がきくようになるのだ。