うたた ka-gu’s diary

障がいをお持ちの方の、生活と余暇支援を行っている・NPO法人うたたのブログです

事例紹介(CBTの進め方の実際)


やっと自分的に年末を感じられるようになって来ました!(ねこさんにはなさそう....。)
しかし、まだ何も準備はしていなくて、数の子はお正月が終わって、安くなってから買うとのことで.....。門松作りも途中.....。夏休みの宿題みたいに焦って来ました(笑)

 今日は木曜日で、今年最後の休日で焦りの中でしたが(笑)、朝は神戸館さんにお礼に行かせて頂き、その後、私用で岡崎まで行っていました。
 


 あまり読書ができませんでしたが、昨日の続きをアップさせていただきます。
ここまできてやっと、認知行動療法ってこんなことをするのか?と分かり始めてきました。
 現場でも一番大事なのは『気づき』ですね!

『重要なのは「変える」ことではなく、「気づく」こと、そして必要であれば気づいたあとに「工夫する」こと。気づいて工夫すればいいんです。』

事例紹介(CBTの進め方の実際)
 インテークや初期段階でのCBTの進め方について、事例を含めてもう少し具体的に説明していきます。まずインテーク面接やCBTの初期段階では、そもそも認知行動療法とは何かということを何度もしつこく説明します。インテーク面接の段階からCBTの基本モデルを示して、「CBTとはこういうものです」ということを伝えていきます。モデルの中でも行動は説明しやすいのですが、認知については少し工夫が必要です。私たちはたぶん「認知」という言葉はあまり使いませんから。
 認知についてはこんな風に説明します。「“認知”というのは頭の中の現象なんだけど」と前置きして、「たとえば、道で知らない人とすれ違った時、すれ違いざまにチッ!て舌打ちをされたとします。これはこのモデルで言うと自分の外側の“世界”“環境”“出来事”ということになりますね」と切り出します。とてもシンプルな例です。「こんな風にすれ違いざまに舌打ちされたら、どんなことがあなたの頭に浮かびそうですか?」と質問すると、「え! 何! 怖い!」とか「えー、この人誰? 何やってんの?」とか「なんだこの野郎!」とか皆さん口々に答えてくれます。そこですかさず「それを自動思考と呼びます。瞬間的に頭に浮かぶ考えやイメージです。自動思考は認知の一部です」と伝え、さらに「『え! 何? 怖い!』といって自動思考が出たらどんな気分になりそう?」とか「体にはどんな反応が出そう?」などと聞くと、「やっぱり怖いし不安になる」とか「ビクッとする」「胸がドキドキする」とか答えてくれます。「“怖い”“不安”というのは気分・感情だし、“ビックとする”とか“胸がドキドキする”というのは身体反応ですよね」と伝え、さらに「そのときにどういうふうに振舞う?」と訊けば、「怖いからなるべき早歩きして関わらないようにする」とか「怖いけどその人の顔を見てどういうことなのか確認する」とか、自分の取りそうな行動を教えてくれます。こうやってちょっとした例を使えば簡単にモデルについて伝えることができます。
 次に「認知行動療法」というネーミングの意味について説明します。皆さんにはさきほどお伝えした通りです。最初は認知と行動に限らず全てを見ていくのですが、最終的にはコーピングが可能な認知と行動に焦点を絞ってあれこれ工夫していくからこそ「認知行動療法」という名前がついているとお伝えします。
 その際「認知を変える」「行動を変える」という言い方はほとんどしません。特に自動思考というのは勝手に出てきちゃう考えやイメージ。出てきちゃうのはしょうがないですよね。引っ込めるわけにもいきませんし。重要なのは「変える」ことではなく、「気づく」こと、そして必要であれば気づいたあとに「工夫する」こと。気づいて工夫すればいいんです。古典的な認知療法の本を読むと「歪んだ認知を修正する」といった書き方がされていますが、普段私たちはそういう言い方は一切しません。自分の認知が「歪んでいる」と言われていい気分がする人はいないでしょう。まずは気づくことができればいいんです。気づいたうえで、その認知が悪さをしている、その自動思考は私にとって役に立たないということであれば工夫をして新たな認知を手に入れればいいのです。 
 ですからCBTの初期段階では何が重要かというと、気づき、言い換えればモニタリングです。クライアントにはモニタリングの練習を徹底して行なってもらいます。自分にとって何がストレッサーになっているのか、どんな自動思考が頭に浮かんだのか、それによってどんな気分・感情になったのか、身体にはどんな反応が出ているのか、その結果どのような行動を取ったのか、その行動によってストレッサーはどのように変化したのか……といったことをきめ細かくモニターするのです。これがすなわち「気づき」ですね。気づくことができて初めて工夫ができる。気づけなければ工夫のしようもない。気づきのないところで闇雲に工夫をしてもあまり意味がない。というわけでいかにモニタリングが重要かということを繰り返しクライアントに伝え、練習をしてもらいます。
 クライアントの中には、「何とか早く問題を解決したい」「とにかく何かアドバイスが欲しい」とあせってソリューションを求めてくる人がいますが、その場合はちょっと落ち着いてもらいます。いきなりソリューションを探すのではなく、まずはモニターできるようになりましょう、と。CBTの前半のアセスメントの段階でまず重要なのはモニタリングなのです。なかでも自動思考に気づけるようになることは非常に重要です。